松かさ病とは、別名「立鱗病(りつりんびょう)」とも呼ばれています。
その名前の通り、ウロコが逆立つ病気です。
まるで、松ぼっくりのようにみえることが「松かさ病」の名前の由来です。
少し大きくなった?と、分かり易く見つけられますが、この状態ではすでに病態は進行しています。
松かさ病に感染すると、ウロコを包む鱗嚢(りんのう)という部分に水が溜まって、ウロコが逆立つようになるのです。
これがいわゆる「松ぼっくり状態」です。
松かさ病の病原菌も、赤斑病と同じ「エロモナス菌」が悪さをします。
他にもヒレ腐れ病や、尾腐れ病、口元に潰瘍ができたりと合併症を起こす場合もあり、深刻な状態となります。
食欲減少、えらが機能不全となり、低酸素症状、しまいには内臓にも疾患を併発することもあります。
こうなると完治は難しく、死に至る可能性が高いです。
初期症状で見つけて治療をしてあげると治る可能性もあるのですが、松かさ病を初期に見つけるのは難しいと思われます。
初期症状と言っても、他の病気と同じようにはなりますが、
- 水面で口をパクパクしている。
- 鰭がダラーンとして、水面付近でジーっとしている。
- 餌をあげても来ない、水底でジーっとしている。
- 水底に体を擦り付けたり、突然狂ったように泳ぐ。
など、いつもと違う事をする子がいたら、気を付けて様子観察しましょう。
松かさ病の原因
急にメダカのオスが全身浮腫んだようになり、うろこが逆だってるのですがなんですか?(;A;)松かさ病?朝はなんともなかったです。今は隔離して塩浴してます。お腹がパンパンです。卵のあるメスより大きいです pic.twitter.com/qoDFy5XjqC
— しばちん@メダカandハンドメイド垢 (@medaka_shiba) February 2, 2020
水中に存在する「運動性エロモナス菌」という細菌が原因です。
淡水であればどこにでも存在している細菌ですが、飼育水がきれいに保てば頻発する病気ではありません。
代表的なのは、「鞭毛(べんもう)を持って運動するエロモナス菌」と、「鞭毛がなく運動しないエロモナス菌」が知られています。
松かさ病は、前者の「鞭毛を持って運動するエロモナス菌」が原因です。
この運動型エロモナスは、25〜30℃の比較的高めの水温で繁殖します。
通常は、それほど強い病原性はないのですが、メダカに外傷があったり、体力が低下している等の、悪い条件があると感染して発症するのです。
メダカがストレスを受けて、免疫力が低下しない環境作りが大切で、「これだ!」という原因の特定は難しいかと思いますが、日頃の飼育で思い当たる点を探してみましょう。
- 濾過装置に付着した餌の食べ残し
- メダカのフンなどの腐敗
- 細菌が繁殖して飼育水が不潔な状態
- 急激な水温の変化
- 過密飼育などによる酸素不足
など、メダカにとってのストレスはいくつもあります。
水温が安定しない季節の変わり目は要注意です。
また、他のメダカから追尾されたり、寄生虫等により体力が低下している時にもこの病気の発症の可能性が高まります。
松かさ病の治し方
若い個体かつ、初期に発見できた場合は水槽の掃除を徹底しましょう。
ろ過装置を付けている場合は忘れずに洗浄し、飼育水も全て換える必要があります。
本当に、初期の病態ですと、これで治る場合もありますが、治らない場合は塩水浴を試みましょう。
塩分濃度は0.5%が効果的で、一週間は様子観察して下さい。
塩水浴で食欲が出てきても、すぐに塩水浴を止めずに症状が落ち着くのを待ちましょう。
塩水浴で治らない場合や明らかに症状が重い場合は、迷わず薬剤に頼ります。
松かさ病には、グリーンFゴールドや観パラD、エルバージュエースが使用されます。
食欲がある場合は、経口投与も効果的で、グリーンFゴールド顆粒や、エルバージュエースを、餌に混ぜて与えてみます。
メダカが食べることにより、直接細菌を攻撃しようということです。
薬を餌に混ぜるのが面倒な人にオススメなのは、「パラキソリンF」で、こちらは薬効成分が予め配合されている餌となります。
松かさ病はエロモナス菌だけではなく、内臓疾患であったり消化不良などが合わさる場合もある病気です。
完治は困難だとされており再発しやすいですが、経口投与は効果が期待できます。
また、赤斑病と同じく殺菌灯を利用するのも1つの手です。
飼育容器(水槽)などの対処
松かさ病のメダカがいた時点で、水槽内の水が悪化していると思われます。
濾過フィルターなどをまず確認してください。
原因が何なのか?早い段階で特定する必要があります。
水槽などの飼育容器は早急なメンテナンスをして下さい。
濾過フィルターの点検・清掃、フィルター内の消耗部品は全部新しい物に交換し、ろ材なども強力に洗浄して下さい。
まとめ
松かさ病とは、発見時に完全にウロコが立った「松ぼっくり」の状態であれば、簡単には治りませんし、本当に厄介な病気です。
松ぼっくり状態だと、献身的に治療をしても、命が助からない場合があります。
松かさ病の予防を、日頃から行なっていた方が良いでしょう。
松かさ病は、赤斑病と同様に「エロモナス菌」、そしてストレスが原因の場合が多いので、まず飼育水の環境を見直します。
飼育水が汚く、水温が25〜30℃にもなると、エロモナス菌が喜んで繁殖する状態なのです。
餌は一回に食べ切れる量を与え、水替えや濾過装置のメンテナンスも、マメにして下さい。